(少なくとも、ウィルバート様はわたくしのことを覚えていて、声をかけてくださったのだし)


 なんとしても、ここで彼とのつながりを確固たるものにしておきたい! ロゼッタは頭をフル回転させながら、上目遣いにウィルバートを見上げた。


「ウィルバート様はお仕事の途中ですか?」

「ううん、もう終わったところ。これから食事でもしようかなって思って」

「まあ、そうでしたの。普段はどんなところでお食事をなさっているのですか? ウィルバート様がお選びになるお店ですもの。きっと素敵なところなんでしょうね」


 一分でも一秒でも会話を長引かせたい。ロゼッタに興味を持ってほしい。なんなら食事に誘ってほしい――ロゼッタはそう念じつつ、うっとりとした笑みを浮かべる。


「そうだなぁ……よかったら、これから一緒にどう? ごちそうするよ」

「いいんですか? 本当に? 嬉しいです……!」


 パッと瞳を輝かせ、飛び上がらんばかりに喜ぶロゼッタを見つめつつ、ウィルバートは彼女の頭をポンと撫でる。


「ロゼッタ嬢は素直だね」

「まあ、そうでしょうか?」


 そう言われてしまうと少し恥ずかしい――頬を染めたロゼッタに、ウィルバートは優しく微笑みかけた。