「王族二人との移動では疲れただろう?」

「お気遣いいただき、ありがとうございます。おっしゃるとおり、少しだけ疲れてしまいました。普段は城に引きこもっているものですから……」


 本当は、夜な夜な馬車に乗って夜会に繰り出していたため、移動自体はそこまで苦じゃない。だが、トゥバルトにはか弱い女性だと思われていたほうが都合がいい。ロゼッタが困ったように微笑むと、トゥバルトはハハッと豪快に笑った。


「そんなことを言われると、守ってあげたくなるな」


 トゥバルトがロゼッタの頭を優しく撫でる。思った通りの反応に、ロゼッタの胸は高鳴った。


「休憩後は別の馬車に乗れるよう、俺が調整をしておこう。クローヴィス殿下の侍女が同乗をしたがっていたようだから丁度いいだろう」

「まあ! ありがとうございます、トゥバルト様……!」


 包容力に溢れた雰囲気。トゥバルトさえいればなんでも上手くいくのではないか――そう思えるほどに頼もしい。ロゼッタはキラキラと瞳を輝かせた。