「……殿下は本当に直球ですわね」

「そのほうがロゼッタ嬢には効くと思っているからね」


 楽しそうに微笑まれ、ロゼッタの頬が赤く染まる。

 以後は和やかな雰囲気で馬車が進んだ。
 なんといっても長時間の移動のため、四六時中喋り続けては疲れてしまう。王族の二人は時に目をつぶったり、水分補給をしたりしながらゆったりと過ごす。

 出発後の最初の休憩時間になると、ロゼッタは二人から離れ、誰にも見られていないことを確認してから大きく体を曲げ伸ばした。


(さすがに疲れましたわ)


 やることはほとんどないものの、狭い車内で長時間移動をするのは体にこたえる。ロゼッタは大きく息を吐き出した。


「ロゼッタ嬢」

「まあ、トゥバルト様」


 疲れている場合ではない。ロゼッタは急いで髪を撫で付けてから、満面の笑みを浮かべた。