ウィルバート・ヴァンス――御年二十七歳の実業家で、超のつく金持ち。金色の長髪がよく似合う甘いマスクに、そこはかとなく漂う大人の色気が魅力的な男性だ。服や小物、宝石も一流品で揃えており、ふんわりと香る香水の香りが品格と余裕を感じさせる。
未婚で婚約者もおらず、恋人らしき存在も確認できていない。
唯一の欠点は平民であること。けれど、彼の資産はその欠点を補って余りある。ロゼッタが己の相手として付け狙っている者の筆頭だ。
「奇遇だね。今夜は仕事じゃなかったの?」
「ええ。今夜はお休みをいただいておりまして」
ロゼッタは頬を染めつつウィルバートににじり寄る。
(ここで会えたのはきっと運命! なんとか会話を長引かせなければ……!)
ウィルバートと最後に会ったのは三カ月前。とある夜会が最後だった。彼にもマルクルに渡したものと同じカードを渡していたがその後連絡はなく、感触としてはいまいちである。
けれど、ロゼッタは諦めたわけではない。一度目のアタックでダメだったとしても、二度三度と続けていけば関心を持ってもらえる可能性は十分にある。
なんといっても、ロゼッタは絶世の美女なのだ。どれだけ性格に難があろうと、お金にしか興味がなかろうと、彼女を妻にほしがる男性はきっといる。
これは彼とお近づきになる絶好の機会だ。
未婚で婚約者もおらず、恋人らしき存在も確認できていない。
唯一の欠点は平民であること。けれど、彼の資産はその欠点を補って余りある。ロゼッタが己の相手として付け狙っている者の筆頭だ。
「奇遇だね。今夜は仕事じゃなかったの?」
「ええ。今夜はお休みをいただいておりまして」
ロゼッタは頬を染めつつウィルバートににじり寄る。
(ここで会えたのはきっと運命! なんとか会話を長引かせなければ……!)
ウィルバートと最後に会ったのは三カ月前。とある夜会が最後だった。彼にもマルクルに渡したものと同じカードを渡していたがその後連絡はなく、感触としてはいまいちである。
けれど、ロゼッタは諦めたわけではない。一度目のアタックでダメだったとしても、二度三度と続けていけば関心を持ってもらえる可能性は十分にある。
なんといっても、ロゼッタは絶世の美女なのだ。どれだけ性格に難があろうと、お金にしか興味がなかろうと、彼女を妻にほしがる男性はきっといる。
これは彼とお近づきになる絶好の機会だ。



