「私、最近までクローヴィスお兄様は兄弟の中で一番楽観的で、ほとんど考えることをしない――なんなら頭が悪いとまで思っていたのだけど、どうやら違っていたみたい」
「そう見えたほうが都合がよかったからな」
そっと目を細めつつ、クローヴィスが微笑む。その表情がどこか寂しげで、ロゼッタは思わず見入ってしまった。
「殿下、そろそろ出発します」
と、馬車の外から声がかけられる。今回の公務でセリーナとクローヴィスの警護責任者を務めるトゥバルトだ。トゥバルトはロゼッタたちが乗る馬車の周りを騎馬で移動するらしく、服装も雰囲気もピリリと引き締まっていてカッコいい。
ロゼッタの視線に気づいたのだろう、トゥバルトは微笑み、目配せをしながら「またあとで」と伝えてくる。
(よしっ)
ロゼッタは拳を握りつつ、気を取り直す。
思いがけないスタートになってしまったが、まだ始まったばかりだ。
(この機会に、必ずわたくしを売り込んでみせますわ)
「そう見えたほうが都合がよかったからな」
そっと目を細めつつ、クローヴィスが微笑む。その表情がどこか寂しげで、ロゼッタは思わず見入ってしまった。
「殿下、そろそろ出発します」
と、馬車の外から声がかけられる。今回の公務でセリーナとクローヴィスの警護責任者を務めるトゥバルトだ。トゥバルトはロゼッタたちが乗る馬車の周りを騎馬で移動するらしく、服装も雰囲気もピリリと引き締まっていてカッコいい。
ロゼッタの視線に気づいたのだろう、トゥバルトは微笑み、目配せをしながら「またあとで」と伝えてくる。
(よしっ)
ロゼッタは拳を握りつつ、気を取り直す。
思いがけないスタートになってしまったが、まだ始まったばかりだ。
(この機会に、必ずわたくしを売り込んでみせますわ)



