「本当だよ。あれから手紙の回数も減ってしまったし、嫌われたのかと思ってた」
「まあ、だとしたら、わたくしの作戦も少しは功を奏したのかしら?」
クスクスと笑ってみせたものの、ロゼッタは内心ドキドキしていた。できる限り大人っぽく振る舞おうと努力をしているが、実際のところウィルバートの瞳に自分がどう写っているかはわからない。子供扱いされるのはゴメンだし、かといって相手にされないのはもっと嫌だ。経験の乏しい中で恋愛の駆け引きを行うことは、緊張の連続だった。
「隣国に行くってことは、セリーナ殿下の公務に同行するんだろう? ロゼッタ嬢は優秀だね」
「仕事の内容は守秘義務があるからお伝えできませんの。でも、ウィルバート様にそう思っていただけるのは嬉しいですわね」
自分にはウィルバートが追いかけるだけの価値がある――なんとかそう思われたくて、ロゼッタは精一杯背伸びをする。すると、ウィルバートはクスリと笑い、ロゼッタの頭をそっと撫でた。
「本当にロゼッタ嬢は可愛いね」
「なっ……」
ムッと唇を尖らせつつ、ロゼッタの頬が紅く染まる。
大人っぽく振る舞ってるつもりが、ウィルバート相手だと上手くいかない。また馬鹿にされた――そう思う反面、可愛いと言われたことを嬉しくも思う。
「気をつけてね」
「……わかってます」
「俺にもなにかお土産を買ってきてね」
「……気が向いたらそういたしますわ」
拗ねたように呟くロゼッタをウィルバートは笑いながら抱きしめる。それから「それじゃあ」と手を振り、颯爽といなくなってしまった。
「まあ、だとしたら、わたくしの作戦も少しは功を奏したのかしら?」
クスクスと笑ってみせたものの、ロゼッタは内心ドキドキしていた。できる限り大人っぽく振る舞おうと努力をしているが、実際のところウィルバートの瞳に自分がどう写っているかはわからない。子供扱いされるのはゴメンだし、かといって相手にされないのはもっと嫌だ。経験の乏しい中で恋愛の駆け引きを行うことは、緊張の連続だった。
「隣国に行くってことは、セリーナ殿下の公務に同行するんだろう? ロゼッタ嬢は優秀だね」
「仕事の内容は守秘義務があるからお伝えできませんの。でも、ウィルバート様にそう思っていただけるのは嬉しいですわね」
自分にはウィルバートが追いかけるだけの価値がある――なんとかそう思われたくて、ロゼッタは精一杯背伸びをする。すると、ウィルバートはクスリと笑い、ロゼッタの頭をそっと撫でた。
「本当にロゼッタ嬢は可愛いね」
「なっ……」
ムッと唇を尖らせつつ、ロゼッタの頬が紅く染まる。
大人っぽく振る舞ってるつもりが、ウィルバート相手だと上手くいかない。また馬鹿にされた――そう思う反面、可愛いと言われたことを嬉しくも思う。
「気をつけてね」
「……わかってます」
「俺にもなにかお土産を買ってきてね」
「……気が向いたらそういたしますわ」
拗ねたように呟くロゼッタをウィルバートは笑いながら抱きしめる。それから「それじゃあ」と手を振り、颯爽といなくなってしまった。



