「もちろん、わたくしも殿下とご一緒できることを大変光栄に思っておりますわ」

「そうだろう? 俺はこの機会にロゼッタ嬢との親睦を深めたいと思っているんだ」


 相変わらず、クローヴィスは外面がいいというか、この間の食事会で見せた雰囲気とは別物だ。はたから見ればキャーキャー騒がれるようなロマンチックな口説き文句だが、実際には二人の間で相当な腹のさぐりあいがなされている。ロゼッタは「まあ」と微笑みつつ、内心でため息をついた。


「クローヴィス殿下もロゼッタ嬢をご存知だったのですね」


 と、これまで黙っていたトゥバルトが口を挟む。ロゼッタがピクリと反応をすると同時に、クローヴィスが「ああ」と返事をした。


「妹お気に入りの侍女だからね。かなり前から仲良くしているんだ。なあ、ロゼッタ嬢」

「殿下ったら、わたくしは殿下と仲良くしていただけるような女ではございませんよ」


 思わせぶりな発言に笑顔を向けられ、ロゼッタはやんわりと『特別な仲』ではないと否定をする。