「実はね、今度外交のために隣国に行くことになったの。まあ、国賓として招かれるわけではなくて、あくまで非公式な訪問なんだけど」
「まあ、そうでしたの?」
ロゼッタは侍女のため、セリーナのスケジュールを管理しているわけではない。そのへんは文官の仕事だ。おそらくは前々から計画が練られていたのだろうが、事前にすべてを聞かされているわけではないのである。
「隣国というと、最近になって殿下とご年齢の変わらない王太女が立たれたのでしたっけ?」
「そう。自分が王族とは知らないまま平民として育てられた王女様が、父親である王太子が亡くなったのを機に、王室に迎えられたの。そんな特殊な経緯を持つ方だから、現状はどこの国とも交流を持っていないのよね。だから、我が国が一番手になって、今後の外交を優位に進めたいというわけ」
セリーナの解説を聞きながら、ロゼッタは隣国の状況を思い返す。
亡くなった隣国の王太子には身分の低い女性との間に娘ができた。けれども、身分の差が理由で結婚が認められず、娘を王室に迎え入れることも叶わなかった。その後、王太子は別の女性と結婚をしたものの、子宝に恵まれないまま病気で亡くなってしまい、王太子の血を引く娘が後継者――王太女になった、というものだ。
平民として育ったのであれば、他国の王族と交流がないのは当然だし、生活の急変により、おそらくは心細い思いをしているのだろう。
だから、年齢の近いセリーナを送り込み、今後の政治に活かしたい、ということのようだ。
「まあ、そうでしたの?」
ロゼッタは侍女のため、セリーナのスケジュールを管理しているわけではない。そのへんは文官の仕事だ。おそらくは前々から計画が練られていたのだろうが、事前にすべてを聞かされているわけではないのである。
「隣国というと、最近になって殿下とご年齢の変わらない王太女が立たれたのでしたっけ?」
「そう。自分が王族とは知らないまま平民として育てられた王女様が、父親である王太子が亡くなったのを機に、王室に迎えられたの。そんな特殊な経緯を持つ方だから、現状はどこの国とも交流を持っていないのよね。だから、我が国が一番手になって、今後の外交を優位に進めたいというわけ」
セリーナの解説を聞きながら、ロゼッタは隣国の状況を思い返す。
亡くなった隣国の王太子には身分の低い女性との間に娘ができた。けれども、身分の差が理由で結婚が認められず、娘を王室に迎え入れることも叶わなかった。その後、王太子は別の女性と結婚をしたものの、子宝に恵まれないまま病気で亡くなってしまい、王太子の血を引く娘が後継者――王太女になった、というものだ。
平民として育ったのであれば、他国の王族と交流がないのは当然だし、生活の急変により、おそらくは心細い思いをしているのだろう。
だから、年齢の近いセリーナを送り込み、今後の政治に活かしたい、ということのようだ。



