「――だったら、従兄弟さんはやめたほうがいい。ああ見えて一途な人だ。時間をかけるだけ無駄ですよ。大体、婚約者がいると知っていて近づくなんて……婚約破棄でもさせるつもりだったんですか?」
ライノアがロゼッタの顔をまじまじと見ると、彼女は目をパチクリさせた。
「そんなまさか。わたくし、そこまでの悪女ではございませんわ。ただ、将来愛妾をお求めなら、候補に加えていただきたいなぁと思いまして」
「は?」
あんぐりと大きく口を開け、ライノアは思わず身を乗りだす。
「愛妾?」
「ええ。わたくし、正妻とか結婚とか、そういう形にこだわりはございませんの。ただ、いい生活を送りたいだけですから。お相手にその気があればそれでいいのですわ」
楽しげに笑うロゼッタに、ライノアは開いた口が塞がらない。
「いい生活……」
「ええ、いい生活です。たった一度きりの人生ですもの。高くて美味しいものが食べたいし、最先端のドレスや髪飾り、ジュエリーに囲まれた生活を送りたいのです。国内外を自由に旅行したいし、将来は遊んで暮らしたい。そのためにはお金持ちに見初められる必要がございますの」
「いや、だけどさっき、王太子殿下には興味がなさそうなことを言ってましたよね?」
「先ほども申し上げましたでしょう? 王族はあくまで王族なのです。まあお金持ちではございますが、自分で自由にできるお金なんてほとんどございませんし、貴族や実業家のほうがよほどお金を持っています。妃としての仕事も大変でしょうし、わたくし興味はございませんわ」
「うわぁ……」
ライノアは半ばげんなりしながら唸り声をあげた。
ライノアがロゼッタの顔をまじまじと見ると、彼女は目をパチクリさせた。
「そんなまさか。わたくし、そこまでの悪女ではございませんわ。ただ、将来愛妾をお求めなら、候補に加えていただきたいなぁと思いまして」
「は?」
あんぐりと大きく口を開け、ライノアは思わず身を乗りだす。
「愛妾?」
「ええ。わたくし、正妻とか結婚とか、そういう形にこだわりはございませんの。ただ、いい生活を送りたいだけですから。お相手にその気があればそれでいいのですわ」
楽しげに笑うロゼッタに、ライノアは開いた口が塞がらない。
「いい生活……」
「ええ、いい生活です。たった一度きりの人生ですもの。高くて美味しいものが食べたいし、最先端のドレスや髪飾り、ジュエリーに囲まれた生活を送りたいのです。国内外を自由に旅行したいし、将来は遊んで暮らしたい。そのためにはお金持ちに見初められる必要がございますの」
「いや、だけどさっき、王太子殿下には興味がなさそうなことを言ってましたよね?」
「先ほども申し上げましたでしょう? 王族はあくまで王族なのです。まあお金持ちではございますが、自分で自由にできるお金なんてほとんどございませんし、貴族や実業家のほうがよほどお金を持っています。妃としての仕事も大変でしょうし、わたくし興味はございませんわ」
「うわぁ……」
ライノアは半ばげんなりしながら唸り声をあげた。



