和人は車の中にいる
あのジジィにとって、和人は『裏切り者』だからね…
だから、この屋敷の中には入れない
「書斎でご主人様がお待ちです」
「わかった」
年配の執事があたしに向かって言った
書斎に近づくたびに、大きくなるあたしの鼓動
大丈夫…大丈夫…
コンコンッ
執事が書斎の扉をノックした
「ご主人様、晴お嬢様が来ました」
「入りなさい」
その返事で徐々に開かれていく扉
「久しぶりだな、晴」
白髪のジジィがあたしに向かってニッコリもしないで言った
このジジィこそ、世界で知らない人はいないと言われるほどの大手企業メーカーのオーナー
『植松 宏明』

