ふたりだけの夜

 愚かしい勘違いをした自分を酷く恥じ、惨めで、情けなくて、家に帰ると、風呂で延々と泣き続けた。
 学校でも、相思相愛で幸せそうな部活の先輩に、決してこの思いを悟られぬよう振る舞うのが精一杯だった。

 こんなに悲しいだけなら、もう二度と誰も好きにならないと決めたのに、やっと前の傷が癒えた頃、また別の人を好きになった。
 今度は学校の先生だった。
「ねーねー知ってる?先生、結婚するんだって!」
 仲間たちの言葉で、またしても、何も始まらないまま失恋に終わった。

 いつだってそうだ。
 誰かを好きになり、周りの友達なども、
「彼、蘭に気があるんじゃない?」
 そんなことを言っていたが、実際はそうではなかったという結末。

 かつて、私のことを羨ましいと言っていた友達も、みんな恋人ができたのに、私はいつも片想いと失恋で終わり、幸せな恋というものとは無縁の人生だ。