ふたりだけの夜

「いやいや！そうじゃないんだってば！その、一般的にそうだと聞くから、どうなのかと思っただけ」
　もう、これ以上聞くのはやめよう。
　恥ずかしさのあまり、俯いた。
「俺が蘭に恋をしていたとしたら、理性が吹っ飛んで、抱いたのかもしれない」
　その言葉に、私はショックを受けていた。
　私のことを好きだと言ってくれたのに、もう好きではなくなってしまったのか⋯⋯？
　尚に対して、気持ちが大きく傾いていたのに。
「そっか⋯⋯やっぱり、もう冷めちゃったんだね」
「ちーがーう！」
　呆れたように言われる。
「ちゃんと、最後まで聞いてくれよ」
「うん、ごめん⋯⋯」
「恋と愛の違いなんて、よくわかんないけどさ⋯⋯理性が吹っ飛ぶのが恋で、理性のほうが勝つのが愛ってことなんじゃないか？」
　恐る恐る顔を上げると、尚の頬は赤く染まっていた。
「それよりも、昨夜はホントにどうしたんだよ？何があったのか話してほしい」