〇栞奈の家・キッチン
鍋の中身をかき混ぜる栞菜。隣で野菜を切る蓮。
ときどき前髪を整えながら野菜を切る蓮をチラチラと見る。すると、栞菜がチラチラと見ていることに気づいた蓮と目が合って慌てて視線を逸らす。
蓮「野菜の皮を入れるためのゴミ袋とかない?」
栞奈「小さなビニール袋なら棚上にあるよ」
背伸びをしながら棚上に手を伸ばす栞菜。
あともう少しのところで手が届かず困る。
蓮「代わりにとろうか?」
栞菜「大丈夫。自分でとれるから」
キッチンと冷蔵庫の隙間から踏み台を取り出そうとする栞菜を、蓮が後ろから持ち上げる。
蓮「はい」
栞菜「ちょっ……なにするの?」
蓮「『自分でとる』と言ったのは栞菜の方でしょ?」
悪びれもせずニコリと爽やかな王子様顔で笑う蓮。
栞菜「もぅ……」
頬を膨らませながら拗ねる栞菜。
〇栞菜の家・リビング・夕食
テーブルの上に二人分のシチュー。
蓮と栞菜が向かい合いながら食べる。
栞菜「蓮さぁ……最近変だよね」
蓮「そうかな?」
栞菜「とつぜん『僕だけを見ていて』『必要なくなる』だとか言い出して……蓮らしくないよ」
顔を真っ赤にして答える栞菜。
蓮「なるほど……」
蓮が暗く笑う。
蓮「変わってなんかいないよ。僕は元々こんなやつだから」
栞菜「えっ……?」
蓮「僕はずっと昔から欲張りだよ」
栞菜「なにが欲しいの?」
蓮「君に頼って欲しい。昔みたいにね」
〇蓮回想シーン
千里『栞菜ったら、いつもおっちょこちょいだから。蓮くんが代わりに面倒を見てくれると嬉しいわ』
優しい笑顔で見下ろす千里の絵。*蓮(小学校)の視点。
蓮『分かった』
笑顔で答える蓮。
蓮『栞菜は昔からうっかり屋で、しょっちゅうトラブルに巻き込まれて泣いていた』
泣いている栞菜(小学生)と慰める蓮(小学生)。
蓮『栞菜が泣くたびに慰めて、いつも頼ってくる栞菜が可愛くて仕方なかった』『それなのに……』
クラスの男女に囲まれる栞菜と遠くから見つめる蓮。
蓮『僕たちの距離はどんどん離れていくばかりで……』
真っ黒な絵。
蓮『もう僕のこと必要なくなっちゃった?』
○栞菜の家・リビング
ソファーに座りながらテレビを見る蓮。
蓮「こっちで一緒にテレビ見ない? 栞菜が好きな動物番組やってるよ」
キッチンを片付けていた栞菜がドキリとする。
蓮の「僕はずっと昔から欲張りだよ」というセリフを思い出す。
栞菜(あんなこと言われたら、どうやって接したら良いのか分からなくなるよ……)
蓮「栞菜、どうしたの?」
怪訝な表情で首をかしげる蓮。
栞菜「なっ、なんでもない。今行くね!」
蓮の隣りに座る栞菜。
かなり距離が離れている。
蓮「そんなに離れてどうしたの?」
栞菜の腰に手を回して、近づける蓮。
赤面したまま俯く栞菜。
しばらく、無言の状態が続く。
蓮「もしかして他に見たい番組があった?」
栞菜「違う……そういうことじゃなくて――」
少し眉を上げて驚く蓮。栞菜は半泣きで蓮を見上げる。
栞菜「さっき、夕食をたべている時に蓮は私が頼ってくれなくなっちゃった、と言っていたけど、べつに私は蓮が嫌いになったわけじゃないの。むしろ逆で……」
栞菜の涙が段々増えて言葉が出なくなる。
蓮が片手を頭の後ろにまわし、優しく撫でる。
泣いているうちに頭がフラフラとしてくる。
栞菜(ダメだ泣き止まないと……また蓮に迷惑を……あれ、だんだん眠くなってきちゃった……)
○栞菜の家・リビング・時間経過
ゆっくりと目覚める栞菜。
壁掛け時計を見て驚く。
栞奈「……うそ。一時間も寝ていたの?」
慌てて立ち上がろうとすると隣で蓮が眠っていることに気づく。
あどけない表情で栞菜の肩に頭を乗せながらすぅすぅと寝息をたてる蓮。
栞菜は穏やかな表情で蓮を見つめる。
栞菜(子供みたいで可愛い)
蓮の前髪に触れる。指先で乱れた前髪を整えると美しい顔が現れドキッとする。
驚きのあまり両手を胸に合わせる。
「んん〜」と声をあげながら目を開ける蓮。
蓮「栞菜……?」
栞菜「あ、ごめん起こしちゃったよね」
赤面して顔を伏せる栞菜。
蓮「どうしたの?」
栞菜「いや、なんでもない……」
鍋の中身をかき混ぜる栞菜。隣で野菜を切る蓮。
ときどき前髪を整えながら野菜を切る蓮をチラチラと見る。すると、栞菜がチラチラと見ていることに気づいた蓮と目が合って慌てて視線を逸らす。
蓮「野菜の皮を入れるためのゴミ袋とかない?」
栞奈「小さなビニール袋なら棚上にあるよ」
背伸びをしながら棚上に手を伸ばす栞菜。
あともう少しのところで手が届かず困る。
蓮「代わりにとろうか?」
栞菜「大丈夫。自分でとれるから」
キッチンと冷蔵庫の隙間から踏み台を取り出そうとする栞菜を、蓮が後ろから持ち上げる。
蓮「はい」
栞菜「ちょっ……なにするの?」
蓮「『自分でとる』と言ったのは栞菜の方でしょ?」
悪びれもせずニコリと爽やかな王子様顔で笑う蓮。
栞菜「もぅ……」
頬を膨らませながら拗ねる栞菜。
〇栞菜の家・リビング・夕食
テーブルの上に二人分のシチュー。
蓮と栞菜が向かい合いながら食べる。
栞菜「蓮さぁ……最近変だよね」
蓮「そうかな?」
栞菜「とつぜん『僕だけを見ていて』『必要なくなる』だとか言い出して……蓮らしくないよ」
顔を真っ赤にして答える栞菜。
蓮「なるほど……」
蓮が暗く笑う。
蓮「変わってなんかいないよ。僕は元々こんなやつだから」
栞菜「えっ……?」
蓮「僕はずっと昔から欲張りだよ」
栞菜「なにが欲しいの?」
蓮「君に頼って欲しい。昔みたいにね」
〇蓮回想シーン
千里『栞菜ったら、いつもおっちょこちょいだから。蓮くんが代わりに面倒を見てくれると嬉しいわ』
優しい笑顔で見下ろす千里の絵。*蓮(小学校)の視点。
蓮『分かった』
笑顔で答える蓮。
蓮『栞菜は昔からうっかり屋で、しょっちゅうトラブルに巻き込まれて泣いていた』
泣いている栞菜(小学生)と慰める蓮(小学生)。
蓮『栞菜が泣くたびに慰めて、いつも頼ってくる栞菜が可愛くて仕方なかった』『それなのに……』
クラスの男女に囲まれる栞菜と遠くから見つめる蓮。
蓮『僕たちの距離はどんどん離れていくばかりで……』
真っ黒な絵。
蓮『もう僕のこと必要なくなっちゃった?』
○栞菜の家・リビング
ソファーに座りながらテレビを見る蓮。
蓮「こっちで一緒にテレビ見ない? 栞菜が好きな動物番組やってるよ」
キッチンを片付けていた栞菜がドキリとする。
蓮の「僕はずっと昔から欲張りだよ」というセリフを思い出す。
栞菜(あんなこと言われたら、どうやって接したら良いのか分からなくなるよ……)
蓮「栞菜、どうしたの?」
怪訝な表情で首をかしげる蓮。
栞菜「なっ、なんでもない。今行くね!」
蓮の隣りに座る栞菜。
かなり距離が離れている。
蓮「そんなに離れてどうしたの?」
栞菜の腰に手を回して、近づける蓮。
赤面したまま俯く栞菜。
しばらく、無言の状態が続く。
蓮「もしかして他に見たい番組があった?」
栞菜「違う……そういうことじゃなくて――」
少し眉を上げて驚く蓮。栞菜は半泣きで蓮を見上げる。
栞菜「さっき、夕食をたべている時に蓮は私が頼ってくれなくなっちゃった、と言っていたけど、べつに私は蓮が嫌いになったわけじゃないの。むしろ逆で……」
栞菜の涙が段々増えて言葉が出なくなる。
蓮が片手を頭の後ろにまわし、優しく撫でる。
泣いているうちに頭がフラフラとしてくる。
栞菜(ダメだ泣き止まないと……また蓮に迷惑を……あれ、だんだん眠くなってきちゃった……)
○栞菜の家・リビング・時間経過
ゆっくりと目覚める栞菜。
壁掛け時計を見て驚く。
栞奈「……うそ。一時間も寝ていたの?」
慌てて立ち上がろうとすると隣で蓮が眠っていることに気づく。
あどけない表情で栞菜の肩に頭を乗せながらすぅすぅと寝息をたてる蓮。
栞菜は穏やかな表情で蓮を見つめる。
栞菜(子供みたいで可愛い)
蓮の前髪に触れる。指先で乱れた前髪を整えると美しい顔が現れドキッとする。
驚きのあまり両手を胸に合わせる。
「んん〜」と声をあげながら目を開ける蓮。
蓮「栞菜……?」
栞菜「あ、ごめん起こしちゃったよね」
赤面して顔を伏せる栞菜。
蓮「どうしたの?」
栞菜「いや、なんでもない……」
