中島くんはなぜか私にキスをせがむ

「中島くん…私お化け屋敷がトラウマなの。昔お母さんに連れられて入ったお化け屋敷があまりにも恐怖で、それ以来一回も入った事ないんだ」

だから…だから、今日は入るの17年ぶりなの…

恐る恐る打ち明けた言葉に私の恥ずかしさが伺える

中島くんはフーンと気のない返事をしてあまり興味がなさそうだ

「私途中で帰るかもしれないから、そしたらごめんね」

ヒュルルーと効果音の鳴る中を中島くんに連れられるまま歩き、私は目を閉じながら辿々しく歩いた

「トラウマは分かったけど、それはもう10何年も前の昔の事だし、今は分からないじゃん。やってもみないのにダメだって諦めるのはナンセンスだと思うけど」

中島くんがそう言った時…

うーらーめーしーやー

私の背後からろくろ首が現れた

「キャー。キャー。キャー」

私は思わず中島くんに抱きついた

「すげー声。そんなにでかい声が出るなら、普段からもっと声出せばいいのに」

「いや、今そんな流暢な事言ってられないし。やっぱりお化け屋敷なんて恐怖なだけで全然克服できないし」

気付くと私はずっと中島くんにしがみついていた

もう嫌だ

やっぱりお化け屋敷なんて私のトラウマでしかない

そう思っていた時…

目の前が明るくなって、「おかえりなさーい」と係員のお姉さんの声がした