中島くんはなぜか私にキスをせがむ

由紀とは事前に違う場所で待ち合わせ、合流する約束をしていた

「待った。少し遅れちゃった。ごめん」

私が両手を前にして謝ると、「何か今日服に気合いが入ってるね」と由紀にすかさず指摘された

由紀は肩まで掛かったミドルヘアーの髪型に、スカートと可愛いフリルのブラウスを着ている

「そういう由紀もいつもとアイブロウ違うよ」

私も負けじと指摘してみた

「まあ一応お出掛けだから」

『だよね』

重なった2人の声に笑顔が溢れる

待ち合わせ場所に向かうと、山田くんはもういて待っていた

「こんにちは」

この前の事があってから何となく普通に接せない…

週に2回のサークルも、ズル休みしていた

つまりあの日以来山田くんとは顔を合わせていない

何となく気まずい…

「よっ、山田君。まだ中島くんは来てないんだね」

私達の様子を見てか由紀が気を遣って場の雰囲気を和ませようとする

「そうだね。中島はまだみたい。あいつはいつもサークルでもレアキャラだから、今日も来るんだか、こないんだか?」

やれやれと発する言葉には諦めが込められている

確かに中島くんはいつも気まぐれで、大学の講義もぷらっとどっかに行ってしまう事が多い

見た目が格好良くて目立つから、いればみんなに囲まれていつも目立つ

ふと普段の中島くんの事を回想していると、私って中島くんの事をよく見てるんだなと言う事に気付いつしまう