中島くんはなぜか私にキスをせがむ

俺の地元は特急列車で2時間くらいのところにある田舎町だ

冬は雪が降り、夏は首都圏よりも涼しい…

俺は婆ちゃんが亡くなってから全く地元に帰っていなかった

俺が美冬の家に着いたのは、もう暗くなりそうな夕方だった…

美冬の家には、もう親戚の人達が集まっている…

俺がインターホンを押すと、美冬が出てきた

久しぶりに見た美冬は、相変わらず綺麗で、喪服姿が儚くて、今にも消え入りそうだった…

「柊矢久しぶり。ごめんね。全然連絡してなかったのに突然連絡してごめん…」

美冬は凄く申し訳なさそうだ

「いや…おばさんが亡くなったんだ…ショックなのも当然だから…」

美冬は白い綺麗なハンカチを握りしめてシクシク泣いている

俺は美冬を放っておけなかった…

🎵ブーブー🎵

LINEの通知音がする

明日のお通夜の準備や、美冬の親戚の人たちへの対応、何より美冬の傍にいてあげたくて、俺は携帯の着信を無視した…