美冬にとって母親は、たった1人の肉親だ

その母親が亡くなったら、美冬はたった1人になってしまう…

俺は美冬が心配でたまらなくなった…

「明日…お通夜なの…それで、柊矢にも連絡しなきゃと思って…」

美冬はやっぱり弱々しく泣いている

「分かった…今からそっちに行くから…」

俺はたった1人になった美冬が放って置けなくて、すぐ傍にいる美桜の事に気が回らなかった…

分かった…今日は帰るね…

そう言って精一杯美桜が強がっていた事にも、俺は気付かず、ただ黙って帰してしまった…

美桜が傷ついて泣きそうな顔をしていた事にも気付かず、その時の俺は電話越しの泣いている美冬にばかり心がいって、傍で泣きそうな大切な女の子を放っておいてしまった…

俺は急いで美冬のいる地元に向かった…