「穂高さんの唇ってさ…キスしたくなる唇だね」

妖艶にニンマリ微笑む目の前の男の人は私と同じサークルの同級生、中島くんだ

中島くんは私の唇を指先でなぞり、私に顔を近づけた

「な、中島くん…?これは何?気のせいか顔が近いような?」

彼は大学に入った時から女の子達が格好いいと騒いでいて、プレイボーイで有名な中島柊矢くんだ

な、なぜにそんな彼が今私の目の前にいて、私の唇を妖艶になぞり、卑猥な事を言っているんだろう

しかもキスしたくなる唇って何だろう?

な、中島くんは実はキス魔⁈

女の子となると誰ふり構わずキスしたくなる病でもお持ちなのだろうか?

そ、それはひじょーに危険だ

に、逃げなければ

私は徐々に近づいてくる中島くんからすり抜けるようにするりと体を逸らして逃げようとした

ドンっ⁈

でも、腕で逃げる体を静止されて、私はさっきよりも近い壁際に追い詰められてしまった

こ、これは俗に言う壁ドン⁈

あのドラマとか、BLでよくあるやつ⁈

壁ドンてこんな感じなんだ

テレビで見るよりずっと近いな

って、今はそんな流暢なこと言ってる場合じゃない⁈