90秒で始まる恋〜彼と彼女の攻防戦

そんな絵梨花をみて苦笑いをする。

「絵梨花に迷惑かけないように私は、目立たずにおとなしくしてるね。砂羽さん達の引き立て役、頑張るよ」

荷台用エレベーター前で立ち止まり、絵梨花に笑ってほしくて戯けて見せた。

「……もう、何言ってるの。引き立て役なんて言ってないで、アピールしないと彼氏できないよ。私が男なら、肉食な砂羽さん達より庇護欲そそる莉子を彼女にするのに…何で男って目先の肉欲にいっちゃうのかしら⁈あー、早く莉子にも、幸せになってほしい。そして、莉子と一緒に彼氏談議したいよ」

ギュ、ギュッと体を抱きしめられ、私はまた苦笑するしかなかった。

彼氏なんていらない。
前の彼氏に、裏切られた痛い記憶が恋愛する気持ちになれなくて、尻込みさせている原因だ。

絵梨花は、そんな私を心配してくれているのだけど、また、好きな人に裏切られたら、2度と立ち直れない気がするからだ。

「私だけを好きでいてくれる人じゃないと無理かなぁ…何年も一途に思ってくれていた人に出会えた絵梨花が羨ましいよ」

「チャラくてタイプじゃなかったんだけどね…人は見かけじゃわからないって思ったわ」