「本当だよ…恥ずかしいだろ」
笑う絵梨花に朝陽の照れてる素振りが嘘くさくて、この茶番はなんのつもりかと3人を順番に見回した。
「断られてもめげずに頑張った俺の成果だな」
「莉子ちゃんが、朝陽のしつこさに根負けしたってことだろ」
「もう、どっちでもいいだろ…惚れてから長かったんだぞ。やっと口説き落としたんだから部外者がとやかく言うな」
結局、この数分の茶番は、私を守る為に仕組んだ事らしく、食堂にいた全ての人に見られていて、その人達によって話に尾ひれがついて広まって、朝陽の長年の片思いが実ったという話になっている事を後で知ることになる。
堂々と一緒に帰れるようになり手を繋いでみる。
「朝陽が彼氏で幸せだなぁ…これから、もっと幸せで楽しい時間を一緒に過ごして行こうね」
「無自覚に煽ってくるなんて、ほんと可愛いよな。楽しい時間を一緒に過ごしたいだなんて誘われたら、頑張るしかないよな」
「えっ?何言ってるのかな?違う解釈してるよね?」
「いーや。間違いなく誘ってた。急いで帰ろうな」
朝陽の欲情スイッチを押してしまった自分のドジさを、朝になって後悔するのだった。
[END]


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