こう言う事を恥ずかしがりもせずに言ってくれる朝陽なら裏切ったりしないと言葉と態度で示してくれるから、何か言われても頑張って立ち向かえる勇気が湧いてくる。
「あのね、交際をオープンにしてもいいよ」
「…いいのか?」
「うん」
クルッと反転させられ、チュッチュッと唇にキスが降る。
こんなに好きになるなんて、あの出会った90秒ほどの出来事の時は、こんなことになるなんて思いもしていなかった。
翌日から、朝陽は表立って公表はしないものの、今までの反動なのか、人の目も気にせずにスキンシップが増えていく。
そうなると、速攻で絵梨花に社員食堂のランチに誘われて、目の前の彼女はウキウキ顔でいる。
朝陽と付き合うことになり、絵梨花には報告済みだが、なぜ、こんなに楽しそうなのだろう。
「もう、隠す気ないんでしょ⁈」
「うん」
隣でカチャンとトレーを置く2つの音の後、お互いの横に座ったスーツ男子がいて、私の隣には、頬杖を突いて私の髪を弄る朝陽がいて、絵梨花の隣には渡部さんがいた。
私を見た絵梨花の笑顔に、冷や汗を感じる。
「向井さん、莉子と付き合ってるって本当ですか?無理矢理連絡先を交換させられて、ちょくちょくメールがきて困るって莉子から相談されてたんですよ。それに待ち伏せられて買い物までついて来たって話も聞いて危ない人だと思ってたんですけど」


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