90秒で始まる恋〜彼と彼女の攻防戦

認めたくなかったけど、どうやらとっくに恋に堕ちていたようだ。

飛びつくように抱きついたら、驚き顔で私を抱きあげて、今にも泣きそうな向井さん。

この状況で言うのも恥ずかしいけど…

「…向井さんが好き。エレベーターであった時から素敵な人だと思ってた」

「…俺も莉子の桃尻に惚れた」

「もう、冗談言わないで」

「ほんとさ。俺のハートを持っていった瞬間だ。会えば会うほど好きになってった。彼女になってくれ」

「はい」

お互いに自然と唇を重ね、向かう先は決まっていた。指を絡め、お互いの肌の熱に浮かされて、離れられなくて…遅い晩ご飯を一緒に作って、キスして、食後の後もベッドで愛し合った。

幸せ過ぎて怖い…

ふと、脳裏に浮かんだ彼のファン達だった。

「どうした?」

「…私達が付き合ってること会社の人達には内緒でいいよね!」

「隠すことじゃないだろ」

「そうだけど…向井さんのファンはショックを受けると思う」

まさか、話してるだけで、中傷されてるとは言えなくて、ジッと彼を見つめた。

「…わかったよ。内緒でいい。そのかわり、夜は俺と過ごすこと」