「ももじりっこ、俺を夢中にさせた責任、とれよ」
そんなこと言われても、困ります。
「無理、無理。絶対むり」
「はぁっ?なんでだよ」
「私じゃなくても向井さんなら、お似合いの人が…」
「はぁっ?お前のその口はさっきから否定しか出てこないのか?揶揄ってるとか、無理とか、自分じゃなくてもとか…俺が聞きたいのは好きか嫌いかどっちかなんだよ!」
クッと喉が詰まる。
「何を怖がってるのか知らない。俺のりこを好きって気持ちを信じろ」
「私…やきもちやきだし『うん』、可愛げがないし『知ってる』、どこにでもいる普通の顔だし『俺のタイプ』、…素直じゃないし『甘え下手でかわいい』、……うっとしくて面倒くさいこと言うよ。『お前に惚れてるから、大歓迎』…もうなんでよ?呆れないの?」
「なんでって言われてもな…全部ひっくるめてお前だから…呆れるっていうより愛しいって感じるし、付き合ってもないのに他の男が近づくだけで嫉妬するわ、振り向かせたくて必死にあれこれ策巡らせて一喜一憂して、自分でも呆れる。でも、他の誰にもこんな気持ちになったことはない。お前が初めてなんだよ」
あー、もうダメだ。
嬉しくて仕方がない…


![(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1631187-thumb.jpg?t=20210301223334)
