90秒で始まる恋〜彼と彼女の攻防戦


「ももじりっこ、俺を夢中にさせた責任、とれよ」

そんなこと言われても、困ります。

「無理、無理。絶対むり」

「はぁっ?なんでだよ」

「私じゃなくても向井さんなら、お似合いの人が…」

「はぁっ?お前のその口はさっきから否定しか出てこないのか?揶揄ってるとか、無理とか、自分じゃなくてもとか…俺が聞きたいのは好きか嫌いかどっちかなんだよ!」

クッと喉が詰まる。

「何を怖がってるのか知らない。俺のりこを好きって気持ちを信じろ」

「私…やきもちやきだし『うん』、可愛げがないし『知ってる』、どこにでもいる普通の顔だし『俺のタイプ』、…素直じゃないし『甘え下手でかわいい』、……うっとしくて面倒くさいこと言うよ。『お前に惚れてるから、大歓迎』…もうなんでよ?呆れないの?」

「なんでって言われてもな…全部ひっくるめてお前だから…呆れるっていうより愛しいって感じるし、付き合ってもないのに他の男が近づくだけで嫉妬するわ、振り向かせたくて必死にあれこれ策巡らせて一喜一憂して、自分でも呆れる。でも、他の誰にもこんな気持ちになったことはない。お前が初めてなんだよ」

あー、もうダメだ。
嬉しくて仕方がない…