「一緒に食べよーぜ」
後退りする私の手を掴んだ彼によって、彼の部屋に引き込まれてしまった。
目の前に飛び込んできたテーブルに、目がいく。
「このダイニングテーブル、うちの[KZ]のパーツですよね。ここを折り畳んで小さくしたり大きくしたりできて機能的な木目板で、三角アイアンの脚。自分でDIYしたんですか?」
「あぁ、そのまま完成されて売ってる物でもいいんだけどさ、折角、パーツ販売もしている会社にいるんだから、自分の気に入った物を置きたいって思ってな。この部屋の家具のほとんどはDIYしてある」
「あー、あれもですか?」
テレビ台がはまっているTVボードも、よく見たら口テーブルをいくつも重ねて部屋の仕切りを作りお洒落な空間を作っていた。
口テーブルの空いた空間から見える向こうには、ベットが見えて、ちょっとだけドキドキする。
「一つの部屋をこんなふうに仕切りを作って、部屋を2つにするなんて、さすがうちのNo.1ですね」
「こんなの誰でも思いつくだろ」
照れたらしい彼はキッチンに戻るので、後をついていく。
「このご飯、何合分ある?」
「二合ぐらいです」
「なんだ、俺と飯食うつもりでいたんじゃないか」


![(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1631187-thumb.jpg?t=20210301223334)
