ジーと睨むように見つめると、両手を合わせて謝っているので、まぁ、許してもいいかななんて思っていたら
「でもな、マスクしてて、昨日と印象がガラッと変わってるお前が悪い」
「私が悪いんですか?」
納得いかなくて、鍋を彼に渡して帰ろうと突き出したら、その手首を握られた。
「指…切ったのか?」
「あー、ちょっとだけです」
彼の心配顔に、ムカつきも消えていく。
「ちょっとって、まだ血が滲んでる。深く切ったんじゃないのか?」
「ちょっとジンジンするぐらいなので、薄皮2、3枚ってとこです」
「それでも痛いだろ。ケガしてまで俺の為に」
「私のついでに作ったお裾分けです。向井さんの為に作ったわけじゃないので、間違えないでください」
一瞬の間の後、彼は大笑いする。
「ほんと、お前って俺のツボを押すのうまいよな」
あーおかしいと、また笑っていた。
「それはどうも…楽しんで頂けたなら、そろそろこの重い荷物と鍋をいい加減持ってくれませんか?」
「悪い悪い…」
そう言って、受け取ってくれた彼。
「味は保証しませんから…不味かったとか辛かったとか文句を言いにこないでくださいよ」
「帰るのか?」
「えっ?」
「でもな、マスクしてて、昨日と印象がガラッと変わってるお前が悪い」
「私が悪いんですか?」
納得いかなくて、鍋を彼に渡して帰ろうと突き出したら、その手首を握られた。
「指…切ったのか?」
「あー、ちょっとだけです」
彼の心配顔に、ムカつきも消えていく。
「ちょっとって、まだ血が滲んでる。深く切ったんじゃないのか?」
「ちょっとジンジンするぐらいなので、薄皮2、3枚ってとこです」
「それでも痛いだろ。ケガしてまで俺の為に」
「私のついでに作ったお裾分けです。向井さんの為に作ったわけじゃないので、間違えないでください」
一瞬の間の後、彼は大笑いする。
「ほんと、お前って俺のツボを押すのうまいよな」
あーおかしいと、また笑っていた。
「それはどうも…楽しんで頂けたなら、そろそろこの重い荷物と鍋をいい加減持ってくれませんか?」
「悪い悪い…」
そう言って、受け取ってくれた彼。
「味は保証しませんから…不味かったとか辛かったとか文句を言いにこないでくださいよ」
「帰るのか?」
「えっ?」


![(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1631187-thumb.jpg?t=20210301223334)
