そういいながら、カゴに安い合挽肉を入れたのに、戻されてブロック肉の豚肉が代わりに入れられた。
「何するんですか?」
「肉はブロックだ」
「私が食べるカレーです。勝手に入れないでください」
「……最近食ってないって言わなかったか?」
「聞きましたけど」
「それなら、俺の分も作りましょうかってならないか?」
「なりません」
「即答かよ」
クックククと、また楽しそうに笑い出す向井さんを放置してブロック肉を戻した私は、一瞬考えて、粗挽きの挽肉を選んで入れた。
「お肉がひき肉でいいなら、少しだけ分けてあげてもいいですよ」
「…サンキュー。中辛な」
嬉しそうに笑う向井さんに、一瞬だけときめいてしまった事は、気がつかないフリをした。
そして、なんだかんだと一緒に買い物してしまい、会計の3分の2は、彼が支払ってしまい、荷物まで持ってくれている。
少しだけ、仲良くなった私達の帰り道
「なぁ…」
「なんですか?」
「さっきのワイン…あれってわざとだろう?」
しばらく考えてから、私は答えた。
「ブラウスにかかったワインの事ですか?多分、偶然です」
「そうだな。隣のワイングラスの近くにいたから、タマタマかかったのか⁈」


![(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1631187-thumb.jpg?t=20210301223334)
