「今日の集まりに来てもらった綺麗な女性達はお前達も知っている高嶺の花、受付の桐谷さんと小野寺さん、そして俺の彼女の絵梨花。絵梨花の親友で総務のアイドル、桃寺さんだ」
男性2人は、一人一人の顔を見て微笑み、こういう場になれている感じだった。
桐谷さんと小野寺さんは、謙虚に『そんな事ないです』としおらしく振る舞っているが、私はアイドルと言われない言葉に恐縮するばかりだ。
「そして、男どもは、営業のNo.2、梶岡 優馬と、新社会人一年目、営業部のNo.1の座を狙っている太々しさNo.1の陣内 篤郎。その座が危ういかもしれない営業部No.1の向井 朝陽はまだきていません」
おどける渡部さんに皆が、クスリと笑った。桐谷さんの前は、まだ来ない向井朝陽さんの為に空けてあるらしい。
飲み物が運ばれてきたのと同時に、スーツを着た男性が入ってきた。
私はその顔に見覚えがあり、彼も私に気がつくと、空いてる席に座らずに、陣内君に空席に移るよう促し、私の目の前に座ったのだ。
そうすると、隣からのなんとも言えないプレッシャーで押し潰れそうで、既に帰りたい気分だった。
渡部さんは空気を変えようと向井さんに、紹介するよう促すと、鉄仮面のような表情で無愛想に「営業の向井です」とだけ…


![(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1631187-thumb.jpg?t=20210301223334)
