僕は中3の冬弥。
 
もう冬か。
 
なんて思いながら、僕は大きな木の公園のベンチに座ってぼーっとしていた。
 
いいところ…
 
ぽつりと呟いた言葉は、静かに降る雪に混じって消えていく。
 
今、春菜と夏生の秋寧は雪だるまを作っている。
 
元気だな。
 
中学生最後の雪だるま作りか…楽しそうだな。

 
秋寧 :「ねぇねぇ…もし良かったら、一緒に雪だるま作らない?今作ってるんだけど…写真撮って残したくて……」
 
冬弥 :「それ、いいね。僕もする。」
 
秋寧 :「うん…!」
 
春菜 :「早く作ろっ!」
 
夏生 :「でっけーぇの作ってやる!」

 
僕は、中学生になる時、ずっと独りなんだろうなって思ってた。
 
こうして、このみんなと遊ぶ事なんて想像もしていなかった。
 
小学生の時もあまり喋らないし、冷たく接してくるしって人から避けられていた。
 
でも、中学生になってからは違った。
 
夏生、春菜、秋寧が話してくれたから…
 
一緒に居てくれたから…
 
少しづつ慣れてきて、楽しいなって感じれた。
 
名前のおかげてもある。
 
冬弥には冬が入っている。
 
みんなにも季節が入っているから。
 
きっと神様が集めてくれたんだ。
 
季節が揃うように…。

 
僕は、寒くてもみんなで楽しめる雪遊びが好き。

雪合戦とか、雪だるま作ったりとか。
 
雪が降っている景色も好き。
 
静かに降る雪は優しく感じられる。
 
ずっと眺めていられるように。

 
4人でクリスマスパーティしたな。
 
イルミネーションも見に行った。

周りの人達にはダブルデートって言われる。
 
でも僕は、そんなの気にしなかった。

いや、僕らは…だな。
 
だって、友達だから。仲良し4人組だから…
 
春菜と秋寧がよく言ってた。
 
仲良し4人組!って。

 
秋寧 :「わぁー!きれーい!」
 
春菜 :「ねー!本当に綺麗!」
 
夏生 :「冬弥、こういうのどう思う?俺はおも…ん…なんでもない…。」
 
冬弥 :「…綺麗だと思う。こういうのも悪くないな…」
 
夏生 :「そうか…。そう言うならいいわ!冬弥がいいって言うならどこにでも行く。おも…。なんでもない!」
 
冬弥 :「面白くなくても…か?」
 
夏生 :「言うなよ!冬弥いつも楽しくなさそうだから心配してただけだ!」
 
冬弥 :「ふっ…。最近…楽しいよ。」
 
夏生 :「そうか。ならいいぜ!」

 
夏生は僕があまり感情を表に出さないから、心配していたみたいだった。
 
僕は嬉しかった。心配されたことが。
 
夏生は優しいんだ。

 
春菜 :「早くプレゼント交換しよ!」
 
秋寧 :「うん…!」
 
夏生 :「誰の貰えるかな〜!」
 
冬弥 :「楽しみ。」

 
クリスマスの日は春菜の家でクリスマスパーティをした。
 
それでプレゼント交換をした。
 
音楽が止まるまでプレゼントを回して、止まったらその時に持っていたプレゼントを貰うというもの。
 
音楽を止めるのは春菜のお母さんが、してくれた。

 
夏生 :「お!これは!冬弥のやつ!」
 
春菜 :「待って、これ夏生のじゃん!」
 
秋寧 :「…春菜のだ!」
 
冬弥 :「秋寧の…。」
 
春菜 :「せーので開けよう!せーの!!」
 
夏生 :「おおー!シンプルな筆箱とシャーペンか!」
 
冬弥 :「何がいいか分からなくて…」
 
夏生 :「いいじゃん!大切にするわ!」

 
この時、すごく嬉しかった。
 
きっと誰も喜んでくれないと思ってたけど、大切にするって言ってくれたんだ。

 
春菜 :「ハンカチ!えーいいじゃん思ったより。」
 
夏生 :「思ったよりってなんだよ!」
 
春菜 :「まぁまぁ、ありがと!」
 
秋寧 :「…赤いマフラー!た、高くなかった?」
 
春菜 :「どうだったっけなー…。でも、私が選んだんだし、貰ってよ!」
 
秋寧 :「…ありがとう。宝物にする。」

 
その時僕が貰った物は、手袋だった。

 
冬弥 :「手袋…」
 
秋寧 :「…どうかな?」

 
僕は本当に嬉しかった。

だから、微笑んで言った。
 
 
冬弥 :「…すごくいい。ありがとう。」
 
秋寧 :「ほ、ほんとっ?よかった。」
 
春菜 :「なんかいい感じ?」
 
秋寧 :「え、いい感じって…そんなんじゃないし!」
 
春菜 :「へへっ。可愛いじゃん秋寧!」
 
秋寧 :「え〜?」
 
夏生 :「ほら、ゲームすんだろ早くしよーぜ」

 
秋寧の照れている所が可愛らしいと思った。
 
別に好きとかではないけど、友達としてはすごくいい。
 
夏生はニヤニヤしながらも話を変えようとしてくれた。
 
なんだかすっごく楽しかったな。
 
冬にはいいところと思い出たくさんあるんだ。


《付け足し-卒業式の日》
 
もう卒業か、なんて思いながら卒業式を迎えた。
 
卒業したくないってみんな言うけど、タイムカプセルを開けるのが楽しみだからこそ、これからの未来が明るく見えていた。
 
卒業したくはないけど、未来が楽しみだった。

 
また、みんなと遊びたい。
 
タイムカプセルを開ける時みんなで笑っていてね。

 
✎︎______________

 
春菜 :「出来たー!」
 
秋寧 :「うんうん。いい感じ!」
 
冬弥 :「これを箱に入れて埋めるんだよね。」
 
夏生 :「なぁ、ここの表紙?ノートの表紙なんか書かないの?寂しくない?題名みたいなとかさ。本みたいに。」

 
1年を通してノートを書き終えた4人は、最後の仕上げをしていた。

 
秋寧 :「そうだけど…うーん。」
 
春菜 :「あ!そうだ!これは?」

 
春菜が適当な紙に書いてみんなに見せる。

 
夏生 :「めっちゃいい!」
 
秋寧 :「これがいい…!」
 
冬弥 :「うん、これにしよう。」
 
春菜 :「じゃあ決まり!」

 
そして、ノートの表紙を題名を中心に飾り付けていく。

 
春菜 :「かんせーい!」
 
夏生 :「いいじゃんか!」
 
秋寧 :「わぁー!」
 
冬弥 :「うん。いいね。」

 

出来上がった。

表紙の題名は……