私はまだ14歳の春菜。
 
未来の私がタイムカプセルを開けて、このノートを読む時、どんな気持ちで読んでいるのだろうか。
 
想像なんてできない…。遠い未来な気がする。
 
そんな事を思いながら、教室の窓から外をみる。
 
桜の花びらがひらひらと散っている。
 
今年は受験生。
 
私は中学3年生になった。
 
中学校に入学した頃、この今の私を想像なんてできなかった。時間の進みは早い。
 
この桜達もきっと未来の事など想像できないだろう。
 
今は満開でも、気がつけば桜は散って、葉っぱが生えてピンク色の木から緑色の木になる。
 
そして、緑色は赤や黄色になって、散っていく。
 
葉っぱは少なくなり少し寂しく感じる様になる。
 
でもそこには、新しい蕾が出来て、また桜が咲く。
 
そうして、季節は成り立っていると私は思う。

 
私は自分の名前に入る春が好きだ。
 
季節の春も、名前の春菜も、大好きだ。
 
ぽかぽか、暖かくなっていく。
 
桜がひらひら散っていく。
 
花がたくさん咲いて、虫たちが動き出す。
 
優しくて暖かくて、なんだか落ち着く。
 
そういう春が好き。

 
春といえば、あの時の思い出が強いんだ。

 
私が中学校に入学した頃。
 
みんなに…夏生と秋寧と冬弥に出逢った日。
 
私は私立の中学校に入ってきたから、学校の中に友達が1人もいなかった。
 
でも、3人に出逢った。
 
あの日初めて話した事みんなは覚えてるのかな。


秋寧 :「あ、あの…。春菜ちゃん…?」

春菜 :「ん?春菜だよ。えっと、秋寧…だったっけ?」

秋寧 :「あ…うん。よ、よろしく!」

春菜 :「うん。よろしくね!」

 
秋寧が最初に話しかけてきてくれたよね。
 
そこに男子2人が来たんだ。


夏生 :「なぁなぁ!春菜と秋寧…だよな?」

春菜 :「うん。そうだよ。夏生くんだよね?」

秋寧 :「…」 頷く

夏生 :「そうだぜ!で、こいつが冬弥だってさ!」

冬弥 :「…なんで僕まで…まぁ…よろしく。」

 
この時に4人のグループが出来た。

 
春菜 :「ここに居る4人共、名前の漢字に季節が入ってるね。」
 
夏生 :「マジじゃん!すげぇー!」
 
冬弥 :「…正直、どうでもいい。」
 
夏生 :「はぁ!?なんだよ!すげーじゃん!」
 
秋寧 :「ちょっと…、仲良くしようよ…。」
 
春菜 :「そうだよ。仲良くしよう!」
 
冬弥 :「別にいいよ、好きにしな。僕はあまり関わらない。」

 
その後、冬弥は自分の席に戻っていった。
 
一応仲良くする事になって…それから、ずっと一緒に遊んできたな。
 
それで、学校の帰りはあの大きな桜の木がある公園でお話したり、遊んだり、寄り道したり……。
 
楽しかった思い出がある。
 
夏生は子供みたいに虫を捕まえたり、走り回ってた。
 
冬弥はベンチに座って、その様子を見守っていた。
 
私と秋寧は桜の花びらとか集めて、押し花を作ったりして遊んだな。

 
春のいいところ、それは新しい学年や新しい友達など、新しい世界を優しく包み込んでくれるところ。
 
綺麗なピンク色の桜が、見守ってくれるところ。
 
桜はいつか散っていくけど、それは新しい季節の変わり目。
 
だから、寂しいなんて思わずに、新しい世界を見つけてみよう。


《付け足し-卒業式の日》
 
中学校生活3年間、楽しかった。
 
夏生、秋寧、冬弥、仲良くしてくれてありがとう!
 
タイムカプセルを開けた時、この4人で見てるよね?
 
その時は、笑顔で笑っていてね。
 
桜の木の下で。