「……蓮見くん、ウチの会社の社長の孫ってほんと?」
蓮見くんがハッとした表情になる。
「バレましたか……。こういうパーティーは知り合いがいるから、まずいかもって思ったんですが……」
蓮見くんが気まずそうに言う。
「いずれ会社を継ぐので、いろんな部署を体験しておかないといけなくて」
「それで、水泳の先生も?」
「ええ。すいません、黙ってて」
蓮見くんがしゅんとしている。
「ううん、いいの。でも、なんで今日、このパーティーに来たの?」
さっきの物言いだと、来たくて来たようには見えない。
「先輩が行くっていうから……」
「え?」
「心配で……。まだ顔を水につけられないから」
信じられない。
わざわざ、私のためにパーティーに来てくれたんだ。
すごく嬉しかった。
でも、同時につらくなった。
(あんな格好悪いところを見られるなんて……)
私は頑張って笑顔を浮かべた。
「蓮見くん、ありがとう。私、疲れたからこれで帰るね」
「先輩……」
気持ちがぐちゃぐちゃだ。
無様なところを見られた惨めさと、助けてもらった嬉しさと。
可愛い後輩だと思っていたのに、会社の御曹司だったという驚きと。
(頭、冷やさないと……)
しっかり切り替えて、明日はまた笑顔で出社しなければ。
私は足早にプールサイドから出た。
蓮見くんがハッとした表情になる。
「バレましたか……。こういうパーティーは知り合いがいるから、まずいかもって思ったんですが……」
蓮見くんが気まずそうに言う。
「いずれ会社を継ぐので、いろんな部署を体験しておかないといけなくて」
「それで、水泳の先生も?」
「ええ。すいません、黙ってて」
蓮見くんがしゅんとしている。
「ううん、いいの。でも、なんで今日、このパーティーに来たの?」
さっきの物言いだと、来たくて来たようには見えない。
「先輩が行くっていうから……」
「え?」
「心配で……。まだ顔を水につけられないから」
信じられない。
わざわざ、私のためにパーティーに来てくれたんだ。
すごく嬉しかった。
でも、同時につらくなった。
(あんな格好悪いところを見られるなんて……)
私は頑張って笑顔を浮かべた。
「蓮見くん、ありがとう。私、疲れたからこれで帰るね」
「先輩……」
気持ちがぐちゃぐちゃだ。
無様なところを見られた惨めさと、助けてもらった嬉しさと。
可愛い後輩だと思っていたのに、会社の御曹司だったという驚きと。
(頭、冷やさないと……)
しっかり切り替えて、明日はまた笑顔で出社しなければ。
私は足早にプールサイドから出た。


