たまたま、同じタイミングでポケベルを持ち、これまた同じタイミングで、自宅にFAXを導入した。
 そのことで、私たちは気軽に連絡を取りやすくなり、学校の子には話しにくいことなど、あれこれやり取りするように。
 あの頃の私は、硬派を気取っていて、学校でも男子に対して媚びるような真似は絶対にしたくなかったし、好きな子も居なかった。
 FAXだと、家族の目につくので、もし好きな子がいても恋バナなどしたくないし、理不尽な教師や偉そうな先輩の話などは何処の学校も同じだから、そんな他愛のないことでも盛り上がった。
 私達が実際に再会したのは、卒園から十年以上経った17の頃。
 たまたま、同じ日に、それぞれの志望校の大学の推薦入試があり、おまけに同じ東京ということもあって、試験のあとで会おうということになった。
 幼馴染とはいえ、一度も同じ学校に通ったことがなく、ずっと遠く離れた町で生きてきた私たち。