だから、若い頃だけでなく、若さを失いつつある今でも、彼は私のことを綺麗だと言ってくれるのかもしれない。
「あ、ねぇ。あそこに、赤くてやたら長い階段が見えるでしょう?」
「どれ?」
「あの山のほう」
「うーん⋯⋯視力下がったかなぁ?よく見えない」
やはり、謎めいた階段で、なんだかとても気になる。
「残念だな。次回はメガネをかけてくるよ」
「そうしましょ。気になって仕方ないもの。ねえ、お腹すいた」
「はいはい。じゃあ、帰って朝食にしよう」
「そうだ!このあたりは公園も多いし、今度は何処かでビニールシートを敷いて朝食なんてよくない?」
「了解。これからの季節は気持ちいいだろうから」
「次回の持ち物は、メガネと、ビニールシートと、朝食と、それから⋯⋯」
彼のシャツの裾をギュッとつまんだ。
「ん?」
「何を忘れても、いちばん忘れちゃいけないものだから」
フワリと微笑みかけてくれた彼。
「あ、ねぇ。あそこに、赤くてやたら長い階段が見えるでしょう?」
「どれ?」
「あの山のほう」
「うーん⋯⋯視力下がったかなぁ?よく見えない」
やはり、謎めいた階段で、なんだかとても気になる。
「残念だな。次回はメガネをかけてくるよ」
「そうしましょ。気になって仕方ないもの。ねえ、お腹すいた」
「はいはい。じゃあ、帰って朝食にしよう」
「そうだ!このあたりは公園も多いし、今度は何処かでビニールシートを敷いて朝食なんてよくない?」
「了解。これからの季節は気持ちいいだろうから」
「次回の持ち物は、メガネと、ビニールシートと、朝食と、それから⋯⋯」
彼のシャツの裾をギュッとつまんだ。
「ん?」
「何を忘れても、いちばん忘れちゃいけないものだから」
フワリと微笑みかけてくれた彼。



