穏やかすぎる愛に包まれて

 それが、たとえポンコツ女だとしても。
 実際、たまには私が夕飯を作って待っていてあげたい気持ちはあるのに、思い付きで買ってきた食材をどう変身させていいものか、本当に全く思いつかない。
 適材適所ということで⋯⋯と、私は洗濯機を回し、風呂を沸かした。もっとも、洗濯は洗濯機が洗濯から乾燥まで全部済ませてくれるのだが。

「ただいま」
 ぼやぼやしている間に、彼が帰ってきた。
「おかえりなさい」
 それこそ、新婚じゃあるまいし、ご飯にする?お風呂にする?それともワタシ?などと言うはずもなく、そもそもご飯は食材を用意してあるだけだ。
 だから、私が先に風呂に入り、その間に彼が夕飯を作ってくれる。
 それがもう、一緒に暮らし始めてからずっと続いているのだから、婚活女子には、
「なんであんな使えない女が、3低男に愛されて幸せに暮らしてんのよ!キーッ!」
 などと思われたとしても仕方ない。