食後は、いつも詩乃がお茶を淹れる。
緑茶、紅茶、中国茶などなど。
スーパーの安売りで買った普段使いのもあれば、専門店で買った美味しい茶葉もあった。
お互いにあまりこだわりはないので、紅茶でもなんでもマグカップで飲む。
明人が特に気に入ったのは、独特の風味がついたルイボスティーだった。
華やかというよりはほっこりとコクがあり、少しだけ砂糖を入れて飲むと美味しさが引き立つ。
明人が来るようになってから、詩乃の家には茶葉の種類が増えた。
食器をシンクに運び、二人で洗い物を済ませてしまう。
水洗いして濡れた手を拭きながら、詩乃は、今日は何を淹れて飲もうかなと考えた。
「あ。そうだ、今日は、明人くんにお礼が言いたかったの」
ふと思い出したように、詩乃が言う。
