目玉焼きにフォークを入れると、美しい黄身がとろりと広がった。
ちょうど白身に絡めて食べられる、絶妙な火入れの加減だ。
「おいしっ」
目玉焼きも、ベーコンも、スープも、トーストも、ごく普通の朝食だがとても美味しい。
急にお腹が空いてきて、詩乃はいくらでも食べられそうだと思った。
そういえば、昨夜はあまりしっかり食べていない。ドキドキして、いつものようにたくさん食べられなかったのだ。
「テーブルを買い替えないといけませんね」
コーヒーを飲みながら、明人は真面目な顔で言った。
「二人で使うには、少し狭い。広ければ、もっとたくさん食器を置けます」
「そうだね。可愛いのがいいなぁ」
ごちそうさま、と、食器を重ねながら詩乃が言う。
「キッチンも、広い方がいいですね。コンロも3口欲しいですが、なによりシンク横のスペースが広いと便利です」
「うん——」
頷いてから、詩乃は胸の中に大きな期待が膨らむのを感じた。
少し照れながら、明人の顔を見る。
