こんな恐ろしい考えに至ってしまっただけに、ただ少し連絡が途切れただけのことにも意味を見出してしまう。
元々、明人は連絡がマメではない。いつも詩乃がメッセージを送れば、必ず返してくれていたが。
あんな夜を過ごしただけに、そしてその意味を考え込んでしまったために、詩乃もなんと連絡していいか分からなくなってしまっていた。
「詩乃ちゃん?」
隣のデスクにいた沙耶が、そっと声をかける。
「はいっ」
慌てて返事をした詩乃を、沙耶は首を傾げて見ている。
「どうかした? なんだか、ぼーっとしてらみたいだけど」
「ええっ!? やだ、ごめんなさい。仕事中なのに」
詩乃が、慌てて自分の両頬をぴしゃりと叩く。
「いえ、いいのよ。違うの。いつも楽しそうに仕事してるのに、なんだか……」
思い詰めているみたいで、と言いかけて、沙耶は口をつぐんだ。
あまり踏み込みすぎるのも、よくないかもしれない。
