翌朝、旅先の空は綺麗に晴れ渡っていた。

 せっかくなのでいくつかの名所を巡ったが、早めに帰路についた。

 夕方には最寄駅に到着し、駅前で軽く食事をとり、自宅に着いたのは午後八時頃。

 旅の疲れが出たのか、詩乃はそのあと倒れるように眠ってしまった。

 そして、目覚めたのはもう朝日も昇り切った後。

 詩乃は簡単に身繕いをしたあと、部屋着のままもう一度ベッドに横になった。

 いつも何かしら動き回るタイプの詩乃にしては、珍しい。

 ふかふかの布団にくるまって、ゆっくり深呼吸をする。

 やっぱり、自室の慣れた布団は落ち着く。

 なんとなく体がだるいような、頭がぼーっとするような。

 よほど疲れてしまったのだろう。

 それは旅の疲れというよりは——激しい昂りと、強い期待と、甘い痺れによるものだった。