夜が更けてきた。
荒れ狂っていた暴風雨は、かなり収まってきている。
今はもう、少し強い風がときおり遠くの方から唸るだけだ。
二人はさっきから長いこと、他愛のない話を続けていた。
帰宅してから食べようと思っていたお土産のお菓子を摘みながら、お茶を飲んでのんびりする。
広々とした和室の座卓で過ごすのは、いつものおうち会と似ていた。
「そろそろ、寝ますか」
詩乃が少し疲れたような表情を浮かべ始めたのを察して、明人は声を上げた。
「そうだね。歯、磨こうっと」
順番に歯を磨き、明日の着替えを用意し、各々に寝る準備を始める。
「スマホの充電、ここでできますよ」
「ありがと〜」
ベッドの横にある小さなテーブルの上に、充電ケーブルが伸びている。
「明日、何時に起きる?」
「そうですね……七時頃でいいと思います。朝食をいただいたら、その後どうするか決めましょう」
「そうしよっか。じゃあ、アラームセットするね」
