ひえ〜! 勘弁して〜!

 と思いながら、詩乃はきゅっと首をすくめた。

 突然の雷は、ちょっと怖い。かなりビビる。

 びっくりして、思わず大きい声で叫んでしまった。

 とはいえ、恐怖症というほどではないし、トラウマがあるわけではない。

 停電もしてしまったし、少し心細くはなる。

 ——と、思う間もなく、脱衣所の戸が勢いよく開く音がした。

「詩乃さん!?」

 明人が、まだ着乱れたままで飛び出してきた。

「大丈夫ですか? 怖かったですね」

 答えるより先に優しく声をかけながら、詩乃がうずくまっている場所へ大股に近づいてくる。

 髪はまだ濡れて、肌も湯上がりの湿り気をまとったままだ。

 暗がりの中、すぐ傍に寄り添った明人の気配から、そう読み取れた。