貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜


 半ばパニクりながら、慌てて明人の提案を遮る。

 同じベッドで一緒に寝るなんて、困る。

 でも、明人を床に追いやって一人でベッドを占領するのは、もっと困る。

「だ、大丈夫だよ」

 とはいえ、彼が詩乃に乱暴したり、嫌がることをしたりといった可能性は考えられない。

 緊張して眠れないかもしれないが、少なくとも、詩乃は嫌ではない。

「そっ……それとも、明人くんが嫌?」

 上目遣いに、こわごわと明人の顔を伺う。

 もしも、本当に嫌がっていたらどうしよう。

 友達としては詩乃のことを好いていてくれていても、恋愛対象にはしたくないと思っているとしたら?

 不安を感じながら、恐る恐る明人と目を合わせようとする。

 ドキッとした。

 いつも冷静であまり表情の変わらない明人が、はっきりと分かるくらいに困ってうろたえている。

 気のせいでなければ——頬が、ほんの微かに紅潮していた。