慕ってくれる女性から誘いを受けたことは何度もあったが、重苦しくてどれも断っていた。

 女性にとって男をクリスマスに誘うということの意味は、察しがついたからだ。

 そこまで興味を持てる女性は、これまで現れなかった。

 しかし今回のクリスマスでは、自分に好きな女性がいる。

 思ってもみない機会だったが、本当に誘ってよかった。

 待ち合わせ場所に現れた彼女の、可愛らしかったこと。

 いつもと雰囲気が全く違っていて、驚いた。

 あんな美しいワンピースの姿は、初めて見た。

 女性の化粧のことはよく分からないが、いつもより念入りに華やかに仕上げたのだろう。

 真冬の妖精か、お姫様かと見まごうほどの美しさだった。

 それなのに、極めて淡々とした褒め言葉しか出てこない自分が、恥ずかしいくらいだ。

 甘い言葉のひとつも浮かばない。言ったことがないからだ。

 ロマンのかけらもない褒め言葉にすら、可愛らしく頬を染めてうつむいてしまう彼女の可愛いこと。

 年相応に大人っぽく、落ち着いた女性の美しさを備えているのに、仕草や表情は少女のようだ。