「作ってくれたんですか?」

 呆然とした声色で、明人が言った。

 ミトンを手にしたまま、固まっている。

 詩乃は、顔が赤くなっていくのを感じた。

 クリスマスに手作りの、それもとびきり上手とはいえない物を渡すなんて、失敗したかもしれない。

「ごめんっ、やっぱりそれ持って帰……」

 詩乃が言い終わる前に、明人は自らミトンを両手にはめた。

「ぴったりです」

 両手を広げて見せる明人は、心の底から嬉しそうだった。

 めったにお目にかかれないような、無邪気な笑顔だ。

「こんな良いものを頂いたら、私の贈り物は出すのが恥ずかしいです」

「そ、そんなことないよ」

 ぱあっと、胸の中に花が咲き乱れるようだった。

 嬉しくて、愛おしくて、とろけてしまいそうになる。

「ありがとう。大切に使います」

 喜びを噛み締めるような、優しい声。

 彼の顔を見れば、どれほど喜んでくれているかは明らかだった。