可憐な華はには毒がある。



私の父は、由緒正しき吸血鬼の貴族。

母は、"ミコ"というものをやっていたらしい。

母の出身は東方の国で、旅行で訪れた父と出会い、家出同然で結婚した、と聞いたことがある。

私たち妖は基本他種族と結婚する。
同じ種族同士で結婚する人もいるにはいるけど、リスクがあるとか何とか…
基本的に混血の私たちの力の現れかたには3つのパターンがある。
片方の親の血が強く出る場合、お互いの力を打ち消しあって現れない場合、どちらの力も現れて体が壊れる場合。二つに一つならぬ三つに一つという訳だ。
私の家は兄たちには吸血鬼の力が強く現れ、純血の吸血鬼と同じくらいの力を持っている。


けど、私だけは違った。私は3つ目のパターンの稀な例。


父と母、二つの血の力がほぼ同じくらいの割合で現れて、2つの力が反発してしまっている。


だから、私は体が弱くて、一日のうち動ける時間が限られている。


強大すぎる力は、私の体を今もじわじわと侵食している。ーー毒がゆっくりと回るように。


それでも、生きていられていることが"キセキ"みたいなもの、なんだそうだ。



長くは生きられないと宣告された時、私が存在した証明が作りたくて創設した、秘密結社《ローズ》。




ちょっと中二病っぽいかな...って今では思う。



まぁ、それでも当時の私には支えとなるものが必要だった。心にぽっかりと空いた穴を埋めたくて仕方がなかった。



そんな自己中心的な理由で作った大切な場所のことを考えながら、私は憎たらしいほど完璧な満月が見える夜空へと飛び出した。