「……ってこと。わかった?」





「ん。ありがと」





薫はすぐに理解できた。昔から頭が良かったのに教えて欲しいなんて言うのは珍しかった。後で聞いてみよう!





「範囲はここまでなの?」





私の問いかけに、薫は「うん」と返事をした。





「あとさー、教えて欲しいって聞いてくるの、珍しいね」





私の顔は見ていないけれど、薫はこの言葉に少し反応した……気がした。





「なんでなの?」





薫は数秒黙った後、「わからなかっただけ。」と言って、部屋を出てしまった。
本当に気のせいだけど、薫の耳が赤かった気がする。