さくらびと。 恋 番外編(3)

夜勤交代の時間が近づき始めると、病棟全体がほっとした雰囲気に包まれる。





この時間帯には通常夜勤帯のスタッフが集まってくるはずだが、今日はどこか様子が違っていた。






「お疲れ様ー。」






聞き覚えのある声に振り向くと、有澤先生が微笑みながら立っていた。






昨夜の出来事が頭をよぎり、つい視線を逸らしてしまう。






「調子はど?」





彼の問いに答える前に別の声が割り込んできた。





「有澤先生!ちょっといいですか?」





別の看護師が急ぎ足で駆け寄ってくる。その表情には焦りが見え隠れしていた。







「ん?何かあった?」




有澤先生の態度が即座に仕事モードへと変わる。





蕾も自然と気を引き締めた。







「実は……新規入院患者さんについて相談したいことがありまして……」





看護師が話し始めると、有澤先生は真剣な表情でメモを取り始めた。





彼の仕事ぶりを改めて目の当たりにすると、その姿勢に尊敬の念を抱かずにはいられない。





昨夜の甘い出来事とは正反対の厳しい現実がここにある。

「分かった。後で確認してみるよ」






看護師が去った後、有澤先生が再び蕾に向き直る。







「桜井さん、少し話せる?」