さくらびと。 恋 番外編(3)






あの日のキスの夜から10日ほど経っていた。




翌日は非番だったため翌々日に出勤したところ、有澤先生はすでに他の患者対応で忙しそうにしていた。






その後もタイミングが合わず、きちんと話す機会がないまま日々が過ぎていった。




(夢じゃない、よね?……私、有澤先生と、キスしたんだよね……?)






蕾は、仕事中もふとそのことを考えてしまう。





医師である有澤先生が、職場でそのような行動に出たことに困惑していた。それでも心の奥では嬉しさも感じていた。





「桜井さん?」






突然の声に我に返る。





そこには患者の一人、田村さんのお見舞いに来ていた母親の姿があった。





「あ、田辺さんの。こんにちは。どうされましたか?」






「うちの母が最近落ち着かないみたいなんです。少し診てもらえませんか?」







蕾はすぐに業務モードに切り替える。





感情的になってはいけない。




これが私の仕事なのだから。