有澤先生とはこれまで松村師長を始め色々あったため、
てっきり違う病棟に配属されるだろうと蕾は半場諦めていた。







「本当に……有澤先生と同じ病棟…ですね」







「あらまー。これは運命的な展開ね」







冗談めかして言う吉岡さんの横で、梓が不思議そうに声を上げた。







「でもなんでなんで?蕾ちゃん、ちょっとこの間まで少し色々あったよね?誰かが推薦したってこと?」







その問いに答えられないまま、さくらは呆然と立ち尽くしていた。






突然の幸運に戸惑いつつも、胸の奥から湧き上がる喜びを抑えきれない。







「まぁ、これでまた桜井さんは忙しくなるね~」






吉岡さんが冗談めかしに肘をついてきた。




「新病棟立ち上げメンバーなんだから、一緒にがんばろうね、桜井さん」




リストをよく見ると他にも馴染みのある名前がいくつかあった。宮田さんや、山本さんなど若い看護師が中心となっている。



梓とは離れたが、ちなみに吉岡さんも一緒だった。








「世代交代ってことなのねぇ~」近くで秋本先輩が分析するように言う。






「これからは若い人たちの時代になるみたいね~」






年配の看護師達もざわざわしていた。






そう言われてもまだ実感が湧かない。







ただ一つ確かなことは、有澤先生とまた一緒に働けるという事実。






それだけで未来が開けていくような感覚だった。






「とりあえずおめでとう」吉岡さんが改めて祝福してくれる。






吉岡さんが、私と有澤先生との勝手な妄想で突っ走ってるのを横目に、







「いや、なんかまぁ、色々違うんだけど…ありがとう」






蕾は苦笑いをした。





吉岡さんは蕾の様子をみてウインクしていた。








「あはは…」



掲示板の前を去りながらも心臓の鼓動が早くなっていることに気づく。






これから訪れる新たな職場。






不安と期待が入り混じった感情に包まれつつも、さくらは確信していた。









(私たちは……きっと大丈夫だ)