さくらびと。 恋 番外編(3)






忘年会当日。





会場は、色とりどりの装飾と、人々の賑やかな声で溢れていた。





蕾は、視線だけ動かして有澤先生の姿を探した。





彼を見つけた時、胸が高鳴ったが、すぐに、師長の言葉が頭をよぎった。





周りの目を気にする有澤先生は、蕾に話しかけることもなく、ただ、穏やかに微笑んでいただけだった。








二人の間には、見えない壁があるかのようで、蕾は切ない気持ちになった。
 
















 「先生、あの...。」





 
 二次会のカラオケ会場。






周りが酔っ払って賑わっているのをいいことに、蕾は意を決して有澤先生に話しかけた。







しかし、有澤先生は、いつものように、少しだけ困ったような、それでいてどこか遠い目をして、素っ気ない態度を貫いた。
 





 「ああ、桜井さん。どうしたの?」





 
 その、いつもの優しさに包まれた声なのに、蕾には突き放されたように感じられた。






心臓が、どくん、と大きく鳴った。堪えきれなくなった蕾は、唇を噛みしめた。






 
 「あ、...いえ、なんでもないです。すみません、私、少し気分が悪いので、先に失礼します。」







 
 そう言うと、蕾は電話をするふりをして、足早に会場を後にした。