冬の半ばにさしかかり、病棟には張り詰めた空気が漂っていた。
桜井蕾は、依然として有澤先生への想いを抱えながらも、その進展のない関係に、静かに心を痛めていた。
そんな中、以前から蕾に好意を寄せていた山田が、ついに彼女に告白を決意した。
「桜井さん、あの...ずっと、言いたいことがあったんです。」
休憩室で二人きりになった時、山田は緊張した面持ちで蕾に切り出した。
蕾は、彼の真剣な眼差しに、戸惑いながらも、静かに耳を傾けた。
「ごめんなさい。私、、山田くんの気持ちに応えられない。」
蕾は、できる限り優しく、しかしはっきりと、山田の告白を断っていた。
山田の顔から、一瞬にして笑顔が消えた。彼は、ショックを受けた様子だったが、すぐに気を取り直したように、無理に微笑んだ。
「そ、そうですか...。でも、これからも、桜井さんの力になれることがあったら、何でも言ってくださいね。」
山田は、そう言って、早々に部屋を出ていった。
蕾は、彼の背中を見送りながら、複雑な思いで胸がいっぱいになった。
山田を傷つけてしまったかもしれない、という罪悪感が芽生えたが、有澤先生への気持ちにやっぱり嘘はつけないと思った。
有澤先生との関係も、もしかしたらこれで少しは進展するかもしれない、という淡い期待もあった。



