さくらびと。 恋 番外編(3)

 





 季節はゆっくりと秋へと移り変わり、病院の中庭を彩っていた桜の葉も、次第に鮮やかな黄色や赤色へとその装いを変えていった。











桜蕾の心の中にも、夏の名残と秋の気配が混じり合い、有澤先生への募る想いが、一層深まっていた。













仕事中、恋を自覚してからも尚、ふとした瞬間に有澤先生の姿を追ってしまう。












彼が患者さんと穏やかに話している姿、カルテに真剣な表情で目を通している姿、どれもが蕾の目に焼き付いて離れなかった。












しかし、その想いを口にすることはできず、ただ募らせるばかり。












指輪の存在が、常に二人の間の見えない壁となっている。











蕾は、医者と看護師という立場を超えて、彼に近づくことの難しさを痛感していた。